iMacを売却や譲渡するときには「データを完全に消去しておきたい」という悩みもあると思います。少しでもデータが残っていると個人情報が流出する恐れもあるので注意が必要です。
結論からいうと、Macは初期化をしただけでは完全にデータを消すことができません。そのためデータを消したつもりでいても残っていることがあるので気をつけてください。
当記事では、iMacのデータを完全消去する準備と方法について紹介していきます。iMacを工場出荷時と同じ状態へ戻せるので、ぜひ参考にご覧ください。
iMacのデータを消去する8つの準備
iMacのデータを消去するときは、以下の8つの準備を済ませておきましょう。
- iTunesをサインアウト
- iCloudをサインアウト
- iMessageをサインアウト
- ファイルをバックアップ
- NVRAMリセットを実行
- 「Macを探す」をOFF
- 周辺機器の接続を解除
- 各種ラインセンス認証の解除
それでは順番に説明します。
1.iTunesをサインアウト
まずはiMacに接続しているアカウントをサインアウトしていきましょう。サインアウトしていない状態にしていると、新しいデバイスで接続したときに不具合が生じる可能性があります。
はじめにiTunesをサインアウトするときは、以下のステップで行なってください。
ステップ1.iTunesアプリを起動
ステップ2.上部メニューバーから「アカウント」を選択して「認証」をクリック
ステップ3.「このコンピューターの認証を解除」をクリック
以上です。認証の解除にはApple IDとパスワードの入力が求められます。
macOS Catalina移行のバージョンではサインアウトの手順を省略できるので、事前に現在のOSをチェックしておきましょう。
2.iCloudをサインアウト
続いてiCloudの認証をサインアウトしましょう。とくに難しい手順はないので、iTunesと合わせてサインアウトしておきましょう。
iCloudをサインアウトするときは、以下のステップで行なってください。
ステップ1.上部アップルメニューから「システム環境設定」をクリック
ステップ2.「Apple ID」をクリック
ステップ3.サイドバーから「概要」をクリック
ステップ4.「サインアウト」をクリック
以上です。iCloudデータのコピーを本体に残すのか選択できるので、任意で項目を決定してください。
macOS Catalina以降を使っている場合はシステム環境設定に「iCloud」という項目があるので、こちらからサインアウトしましょう。
3.iMessageをサインアウト
次にiMessageをサインアウトしていきましょう。iMessageは普段使わない機能だけにサインアウトを忘れがちなので注意してください。
iMessageをサインアウトするときは、以下のステップで行なってください。
ステップ1.Finderを開いて「アプリケーション」をクリック
ステップ2.「メッセージ」をクリック
ステップ3.上部メニューから「環境設定」を選択して「iMessage」から「サインアウト」をクリック
以上です。とくに難しい手順はないので、合わせて済ましておきましょう。
4.ファイルをバックアップ
Macに大切なファイルやデータが残っているときは、バックアップを忘れないようにしましょう。バックアップをとるときはMacの標準アプリ「Time Machine」を開き、クラウドサービスやHDD・SDDなどを用意してデータを移行します。
もし多くのデータ容量を移行したいときは、1TB〜3TB程度の確保をおすすめします。バックアップを取ればいつでも復元できるので、必要に応じて復元可能です。
注意点として、外付けHDDやSDDを指定するとバックアップ前のデータは全て消去されるので気をつけてください。
5.NVRAMリセットを実行
NVRAMとは、基本的な設定情報を保存しておく特殊なメモリ領域のことです。内部のデータを蓄積している部分なので、データを完全に消去するときにはリセットが必要です。
NVRAMリセットをするときは、上部アップルメニューから「システム終了」をクリックして本体の電源を完全に落とします。そしてすぐに電源を入れて「option」 + 「command」 + 「P 」+ 「R 」キーを20秒〜30秒ほど押し続けてください。
起動音が鳴るMacの場合は、2回目の起動音が鳴った時点でキーを放しましょう。Apple T2セキュリティチップを搭載したMacの場合は、2回目のApple ロゴが表示されて消えた後でキーを放してください。
こちらで起動が問題なくできればリセット完了です。注意点としてM1チップが搭載されたMacはNVRAMクリアのキーコマンドがなくなっており、新機種のM2チップも同様です。
モデルに合わせたやり方でNVRAMリセットを試してみてください。
6.「Macを探す」をOFF
Macを探すとは、自分のAppleデバイスの居場所を探す位置情報サービスとなっています。位置情報が残っていると個人情報が流出する恐れがあるので、必ずOFFにしておく必要があります。
Macを探すをOFFにするときは、以下のステップで行なってください。
ステップ1.上部アップルメニューから「システム環境設定」をクリック
ステップ2.「Apple ID」をクリック
ステップ3.左サイドバーから「iCloud」をクリックして「Macを探す」のチェックを外す
以上で完了です。手順は簡単なだけに見落としがちなポイントなので、忘れずにしておきましょう。
7.周辺機器の接続を解除
マウスやキーボード以外の周辺機器は全て接続を解除しておきましょう。周辺機器が接続された状態でデータを削除すると、新しいデバイスへ乗り換えたときに誤認されてしまう恐れがあります。
Bluetooth接続をしているなら、こちらもペアリングを解除しておいてください。Bluetooth接続を解除するときは上部Bluetoothアイコンから解除をクリックするか上部アップルメニューから「システム環境設定」を開いて「Bluetooth」をクリックし、接続されている端末の右部分にある「×」をクリックしましょう。
8.各種ライセンス認証の解除
Macと外部サービスを連携させているときはライセンス認証を解除しておきましょう。例えば「Microsoft Office」や「Adobe Creative Cloud」といったサービスが該当します。
ライセンス認証が残ったままになっていると、前述と同じく新しいデバイスの乗り換えで認証されない恐れがあります。
それぞれ公式ページにライセンス認証の解除方法が紹介されているので、加入している方はぜひチェックしてみてください。
Microsoft Officeのライセンス認証解除はこちら
Adobe Creative Cloudのライセンス認証解除はこちら
iMacのデータ消去方法
それでは本題であるiMacのデータを消去する方法を紹介します。
iMacのデータを消去するときは、以下のステップで行なってください。(Intel搭載のMac参照)
ステップ1.Macの電源を落とす
ステップ2.電源を入れてすぐにに「command」+「R」キーを長押し
ステップ3.ユーザの選択画面が表示されたらパスワードを入力
ステップ4.ユーティリティウインドウで「ディスクユーティリティ」を選択
ステップ5.サイドバーで「Macintosh HD」を選択して「消去」をクリック
ステップ6.ディスクユーティリティを終了し、ユーティリティウインドウに戻る
ステップ7.ユーティリティウインドウで「macOS を再インストール」を選択
以上です。起動時にMacの初期設定画面が表示されていれば初期化が完了となります。
AppleT2セキュリティチップ搭載のMacは少し手順が異なるので、Appleサポートページを参照してください。
macOS Monterey以降のデータ消去方法
Appleシリコン搭載のMacもしくはApple T2セキュリティチップ搭載のMacで macOS Monterey以降のOSを使っている場合、通常の消去方法とは少し手順が異なります。
こちらを利用している場合、上部アップルメニューから「システム環境設定」をクリックすると上部メニューバーの項目に「すべてのコンテンツと設定を消去」が追加されます。
「すべてのコンテンツと設定を消去」をクリック後の消去方法は、以下のステップで行なってください。
ステップ1.バックアップで案内が表示されたら「続ける」をクリック
ステップ2.設定、メディア、データ、リストに表示されている項目をチェックして「続ける」をクリック
ステップ3.Apple IDのパスワードを入力して「すべてのコンテンツと設定を消去」をクリック
ステップ4.画面が暗くなり、ネットワークに接続されたら「再起動」をクリック
以上です。こちらの手順を終えると設定プロセス画面が表示されるので、データ消去が完了となります。
iMacの売却や譲渡をするときは設定アシスタントを使わず、そのまま Macの電源ボタンを押して切っておきましょう。
iMacのデータを消去するときの注意点
iMacのデータを消去するときは、以下の注意点に気をつけてください。
- 安定したインターネット環境を用意する
- 電源ケーブルをしっかり接続する
- 一度のデータ消去だけでは完全に消去されない
それでは解説していきます。
安定したインターネット環境を用意する
iMacのデータを消去するときは数時間ほどかかるので、安定したインターネット環境を用意するようにしましょう。理由としては、データ消去に必要なファイルは全てインターネット経由でダウンロードされているからです。
WiFiを無線接続していると接続状態が不安定になる恐れがあるので、有線接続をするかWiFiルーターをMacの近くに配置ことをおすすめします。
電源ケーブルをしっかり接続する
iMacのデータを消去しているときに電源ケーブルが切れるとエラーが発生する恐れがあります。また本体の故障にもつながるため、電源ケーブルはしっかり接続するようにしましょう。
延長コードを使っていると間違って消してしまう可能性があるので、電鍵ケーブルを接続するときは壁に直接差し込むようにしてください。
一度のデータ消去だけでは完全に消去されない
iMacのなかには多くのデータがあるので、一度だけデータ消去をしても完全には消去されません。例えばブラウザに残ったクッキーやキャッシュ、インストールしたアプリデータ、連絡先や住所は残っている可能性があります。
そのため一度だけではなく、複数回のデータ消去をすることが大切です。具体的な方法は後述で紹介するのでぜひご覧ください。
iMacのデータを完全消去する方法
iMacは前述の消去方法を実行しても、以下のようなデータが残っています。
- ブラウザに残ったクッキーやキャッシュ
- インストールしたアプリのデータ
- 連絡先や住所
上記のようなデータはiMac本体を初期化しただけでは消去されていないことが多いです。データが上書きされるごとに消去されますが、初期化だけの状態だと簡単に復元可能です。
Macのデータを完全に消去したいときには、以下のステップで行ってください。(Intel搭載のMac参照)
ステップ1.Macの電源を落とす
ステップ2.電源ボタンを押してすぐに「command」+「R」キーを同時押し
ステップ3.言語選択画面が表示されたら好きな言語を選択
ステップ4.OSユーティリティ内のディスクユーティリティを選択
ステップ5.「Macintosh HD」をクリックし、画面上部の消去をクリック
ステップ6.「セキュリティオプション」ボタンをクリックして「データをゼロ消去」、「7回消去」、「35回消去」のいずれかを選択
以上です。7回消去と35回消去は回数に合わせてMac内のデータを削除されます。
データ削除完了後、前述で紹介した初期化方法を実行すれば完全に消去可能です。最後の締めとして実行するようにしておきましょう。
iMacのデータ消去はアーストへご相談ください
今回は、iMacのデータを消去する方法について詳しく紹介しました。データを消去するときは事前準備を済ませたうえで行うようにしてください。
データを消去中に問題が起こらないよう安定したインターネット環境と電源ケーブルの接続状況をチェックしておきましょう。また一度データを消去しただけでは完全に消去できないので、当記事で紹介した方法をもとに実行してみてください。
もし紹介した方法を試してもうまくできないときは、Macの修理専門店であるアーストまでご相談ください。アーストではリモート遠隔サポートサービス(有償)を実施しているため、遠隔操作によって問題点を解決します。
もしお困りな点があれば気軽にお問い合わせをお待ちしております。